1人と1匹のいきぬき

背伸びして棚に上げています。二日酔いが常。

ニューヨークアイラブユー

 

 

 

 

「あなたが、決めたのよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ニューヨークという街のことを、好きになった瞬間がある。

 

 

 

 

 

 

 

元々、行きたかった場所ではあった。

 

 

どこに行きたい、なにが見たい

とか、そういう欲求はなく

 

ここに生きる人たちの空気を

感じたかった。だけ。

 

 

なぜ世界中のひとびとを惹きつけ

世界の中心であり続けるのか。

 

 

 

 

 

 

世界一周という機会に

 

ついにその場所を訪れるチャンスを得た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アメリカは移民の国だ。

ヨーロッパのような、アジアのような固有種の集合でなく、歴史のある国家でもない。

 

 

 

 

 

 

よく個人主義と言われるが

ふつうに生きているとそうでもない。

 

困っている人がいれば助けるし

日本にいるよりも他人間のコミュニケーションが頻繁に交わされる。

 

 

 

 

故に、簡単に個人は飲み込まれる。

メニューの注文ひとつ。

信号待ち然り。

 

 

 

主張のない人間は、ここでは通用しない。

主張を発信する自信のない人間は、ここではいないも同然なのだ。

 

 

 

 

出てきたベーグルに頼んだ具がちゃんと入っていなかったら

それはちゃんと伝えなかったじぶんのせいだし、

そこで訂正できるかどうかも、すべては自分次第。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいえ、あなたが決めたのよ」

 

このことばを、ことあるごとにぼくは思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

プラダを着た悪魔」という映画がぼくは大好きなのだが

 

 

 


プラダを着た悪魔 予告編 The Devil wears Prada - trailer + Brands

 

 

 

同作中で、メリルストリープ演ずるランウェイの伝説的編集長、ミランダの発した上の言葉が、特に、いたく、気に入っている。

 

 

 

 

 

「そうするしかなかった」と言い、あくまで自分の意思決定は外的なものによるものだと主張する

アンハサウェイ演じるアンディに対して

 

 

 

「いいえ、あなたが決めたのよ」とばっさり言い切るのだ。

 

 

 

確かに作品を見ていると、ミランダの高圧的な態度や仕事上、

アンディは外的状況によってじぶんの行動を決めざるを得なかったようにも見える。

 

 

 

ただ、すべての決定の責任をじぶんに負わせようとするミランダの一言に、ぼくは、ひととしての強さを感じる。

 

 

 

 

 

 

周りの何かのせいにするのは簡単だ。

それでも良いのかもしれない。

というか、ほとんどはそれできっと良い。

 

 

ただ、じぶんが決めた道、こだわっている何かに対しては、

ぼくはすべての決定の責任をじぶんに負わせたい。

 

 

 

 

そうでなければ、ぼくは何者でもなくなってしまうと思う。

ぼくはぼくのアイデンティティくらいは、じぶんで守りたい。

 

 

 

 

その意味で、ぼくはこの映画が大好きで、何か心が弱っているときは観るようにしている。

 

 

 

その映画の舞台が、ニューヨークだった。

 

 

 

ここに実際に来て、滞在し、人と触れ合っていて思ったのは

 

 

みんな必死だということ。

じぶんの人生に、本気だ。

 

 

夢を持ってここに来て

消えて無くなりそうなじぶんを

どうにか保とうと。

 

 

 

タイムズスクエアなんで場所は

まったく無駄なものの集合体だ。

 

 

 

見上げればバチバチに明るい映像広告に目をくらませ

目の前ではパフォーマーたちがいたるところでじぶんたちを売りまくっている。

昨今のシンプルライフなんてのはまったく無縁の世界だ。

 

 

ただそこで、ニューヨーカーたちは

本気で生きている。

 

 

 

じぶんに自信を持つため。

それでしか無いんだと思う。

 

 

 

じぶんの人生に向き合おうともがいている人間がたくさんいる。

すごく人間らしくて好きだ。

 

 

アンディが、この街にはたくさんいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本で負けそうになるたび、このときの光景を思い出す。

 

 

 

 

 

こんなこと書いてたら、

 

ああ、なんかまた行きたくなってきた。

 

 

 

 

 

 

 

待ってろ、ニューヨーク。

 

次こそは。